開発の裏側≒Leeの開発思考
このAIコーチングシステムは単にAIの応答を返すだけでなく、
ユーザーの心のモヤモヤに深く寄り添い、具体的な自己理解と成長を促すために
これまでの経験とプロンプトエンジニアリングの技術を総動員して開発しました。
1.看護師としての人間理解と認知行動療法(CBT)の融合、看護師経験で培った「人の心に寄り添う力」を、AIの対話にどう組み込むかが最大の課題でした。 CBT原則のプロンプト設計一方的なアドバイスではなくユーザー自身が「気づき」を得られるよう、認知行動療法(CBT)の基本的な原則(例:思考の記録、感情の認識、行動実験の提案など)をプロンプトに落とし込みました。 AIがユーザーの思考を整理し、客観的な視点を提供するよう、対話のフローを緻密に設計しています。 「傾聴と共感」のAI表現 AIがユーザーの言葉をただ受け止めるだけでなく、真に「傾聴」し「共感」しているかのような応答を生成するよう、丁寧なプロンプト設計を繰り返しました。 ユーザーが安心して心を開ける、温かい対話体験を目指しています。
2. AIの可能性を最大限に引き出すプロンプトエンジニアリング最先端のAIモデル 「Gemini」の力を最大限に活用し、意図した通りの対話を実現するために様々な技術的工夫を凝らしました。 一貫性のあるAIの「役割」設定: AIが常に「コーチ」としての役割を保ち、倫理的かつ建設的な応答を返すよう、厳密なガイドラインをプロンプトに設定しました。 これによりAIが不適切な情報を提供したり、会話が脱線したりするリスクを最小限に抑えています。 ポジティブな対話の維持 ユーザーのネガティブな感情にも寄り添いつつ、対話が常にポジティブな方向へ進むようAIの思考ステップや応答生成ロジックに工夫を凝らしました。 簡潔かつ深い応答のバランス 長文になりすぎずかつユーザーの問いに深く答えるバランスを見つけるために、AIの出力形式や情報量を繰り返し調整しました。 ユーザー体験(UX)への配慮と安全性本サービスを安心して、そして快適にご利用いただくための配慮も忘れません。 直感的なインターフェース 誰でも簡単に利用できるよう、シンプルで分かりやすいUI/UXを心がけました。 プライバシーの徹底 個人を特定できる情報は一切保存せず、セッションごとに会話データをリセットする仕組みを 導入することで、ユーザーのプライバシー保護を最優先しています。
3.看護師としての視点がもたらすユニークな価値このAIコーチングは、単なる技術者の視点だけでは生まれなかったものです。 実践的なアプローチ 実際の医療現場で培った「問題の根本原因を見つける力」や「個別性に合わせたアプローチ」が、AIコーチングの対話設計に生かされています。 心の健康への深い洞察 人の心の動きやストレス要因に対する深い理解があるからこそ、AIコーチが本当に役立つ対話を提供できるようプロンプトに細やかな配慮を施しました。私のプロンプトエンジニアリングは、技術と人間性の融合によって、より豊かな未来を創造することを目指しています。 このAIコーチングが、あなたの心のモヤモヤを晴らす一助となれば幸いです。
思考プロセス
CBTとAIの融合における技術的な具体例
私が看護師の経験とCBTの知見をAIコーチングに
「実装」する際、最も重要になるのが
『プロンプトエンジニアリング』です。
CBTの理論的な概念をAIが理解し、実践できる
具体的な「指示(プロンプト)」へと変換する
プロセスはまさに知的なパズルであり、
私の専門領域です。
ここではその技術的な思考の一端を
具体的なプロンプトの
「断片」を例に示します。
(※実際のプロンプトは、さらに多くの要素や
文脈、複雑な条件分岐を含みます。)
『感情と言葉の紐付け』プロンプト(例:感情認識の深化) CBTの概念 ユーザーが言葉にできない感情を認識し言語化を促す。 プロンプト設計の視点 ユーザーの入力から、表現されている感情(喜び、不安、怒りなど)を抽出しそれに該当するCBTの感情リストから言葉を選びなさい。 抽出した感情を『〜と感じていらっしゃるのですね』といった共感的な表現で復唱しユーザーに寄り添う返答を生成しなさい。 AIの挙動例 〜の状況で〇〇という気持ちなのですね。その不安は具体的に何に対して感じていますか?
『自動思考の特定と問いかけ』プロンプト(例:認知の再構成) CBTの概念 ユーザーの頭に最初に浮かぶ「自動思考」を特定しその思考が合理的か別の見方はないかを問いかける。 プロンプト設計の視点 ユーザーの発言からその状況で最初に浮かんだ『自動思考』を特定しなさい。特定した自動思考に対し『もしその思考を別の角度から見るとどんな可能性が考えられますか?』といった代替思考を促す質問を生成しなさい。 ただし、決してユーザーの思考を直接否定せず優しい、問いかけるトーンを維持しなさい。 AIの挙動例 『失敗したら どうしよう』という思考が浮かんだのですね。もしこの状況を別の角度から見てみるとどんな可能性が考えられますか?」
『行動変容へのスモールステップ促し』プロンプト(例:行動活性化) CBTの概念 自己理解を深めた後、具体的な行動(スモールステップ)を促すことでポジティブな変化を生み出す。 プロンプト設計の視点 「ユーザーが現状を変えたいと感じているテーマに対し『小さく今日からでも始められる具体的な行動』を提案する質問を生成しなさい。 提案は『もしできるとしたら、どんなことから試せそうでしょうか?』のように、選択肢と自主性を尊重する形式にすること。 AIの挙動例 心の整理ができたのですね。もし、今日から何か一つ行動を変えるとしたらどんなことから試せそうでしょうか?
このように、CBTの理論的なステップや
セラピストの質問技法を、
AIが「理解」し「実行」できるように
言語モデルの特性を踏まえて構造化された
プロンプトを設計していくことが
私のプロンプトエンジニアとしての役割です。